睡眠について問診していると中途覚醒する、その後なかなか入眠しにくい、という方がいます。
こういう場合、眠りそのものをいじくって、睡眠薬などを使うと何がどうなっているのかわからなくなっていきます。症状も改善しません。むしろ、起きている活動中の日中の過ごし方、とくに食事の方法にまずはコツがあったりします。そして低血糖症状によって中途覚醒が症状としてある場合もあります。
低血糖症とは
血糖スパイク、低血糖症。血糖と入っていると「糖尿病」の症状でしょ、と、これらの言葉をみても多くの方は、自分事とは考えません。
低血糖症や血糖スパイク(血糖調節障害)はその名前から血糖値が低くなってしまう病気と思われがちですが、血糖調節力が弱まっている状態(血糖値が低くなることも含む)です。そしてこの病態は、糖尿病の治療中に生じうる低血糖とは異なります。
低血糖症(血糖調節障害)の症状には、血糖値が下がりすぎることによって生じる症状と、血糖値の低下を防ごうとしてホルモンが分泌されそれに伴う自律神経症状があります。
5時間後糖負荷試験の結果
例えば以下の図を見てみましょう。
図:5時間後糖負荷試験の結果 みずぐちクリニックHPより
80、125、198、209、195、160、154、99、36、58がそれぞれ糖を負荷したのちの時間経過に伴う血糖値です。
正常は血糖コントロールのもとでは、食事をするとゆるやかに血糖値が上昇し、そののち再び下がり、だいたい3~4時間で食前と同じくらいの血糖値に落ち着きます。そしてその上昇と低下の血糖値は80~145㎎/dlの間におさまっています。
一方、低血糖症状の場合は、食後30分程度で血糖値が急上昇(図では198へ)したのち、3~4時間後に食前の半分程度までガクッと血糖値が下がります(図では36)。
血糖スパイクの症状
糖質の過剰摂取で血糖値が急激にあがると、体はインスリンというホルモンを分泌して血糖値を下げるように働きますが、マイルドな正常範囲の反応より以上に血糖値が乱高下する「血糖スパイク」の状態になることがあります。
血糖値が急上昇しているときは気分がよいわけですが、急激に血糖値が下がり、低血糖状態に陥るので、集中力が低下し、イライラして、疲労感が強くなります。
抑うつ状態、といわれる場合もあるでしょう。
そして、一般的な一時的血液検査では糖尿病の指標の1つとされるHbA1cも平均値であるため低血糖が見逃されます。
低血糖症状、血糖スパイクによる症状をまとめてみます。
- 甘いものが常にないと不安
- 食後の抗えない眠気がある
- 夜間に中途覚醒がある
- 眠った気がしないことが多い
- 集中力がない
- 感情の起伏が大きい
- 心がざわつく頻度が多い
- 常にイライラする
- ちょっとしたことで泣いてしまう
- 疲れがぬけない、朝から疲労感がある
- 朝ごはんが食べられない(朝食欲がわかない)
- お腹がすいて気分が悪くなる
- 繊細さんといわれてしまう、自分でもそうかもと思う
特徴は
- 食後血糖値が145㎎/dlを超えて急上昇する(症状はない)
- 健診などの血液検査では「異常なし」といわれている
- 血糖値が高めや、肥満傾向であってもおこりうる
- 食事をとるスピードが早い(早食い)とおきやすい
血糖スパイクを治す方法は?
ひとまず自分の不調や不具合に検査で「異常なし」といわれても「血糖乱高下や低血糖症状かもしれない」と考えてみることから始まります。
その上で、シンプルに書くと以下のことがポイントです。
- 肉、魚、大豆、卵、野菜、海藻などをできるだけ和食形式でバランスよく、偏り少なく食べる
- 糖質をとり過ぎない
甘いものは脳の栄養になるから、イライラがおさまるにはチョコレートを食べると良い、など、あやまった思い込みを自分に当てはめて、偏食や糖質依存の言い訳を続けていると、自律神経系アンバランスがおさまらず、交感神経系の興奮が続いていきます。
耳が痛いかもしれませんが、食事でいただく栄養は心身をつくり上げる土台である、ということを今一度確認しましょう。
血糖値を安定させるためには
個別の細やかな低血糖症状などの対応には、血糖値を安定させるため、数時間おきに小分けにして血糖値乱高下しにくいものを食べるという方法や、就前に生はちみつを少しなめる、あるいはカンナビノイド製品をセルフケアに取り入れて、自律神経系のバランス調整に働いてもらう、などいくつかの方法もあります。
さまざまな良書も多く出ていますので、まずは情報収集からはじめてみるのもよいでしょう。
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